2007年01月09日

後向きに車に乗りたる道命阿闍梨、和歌を以て和泉式部に答ふる事

(古今著聞集第十一好色編)
 道命阿闍梨と和泉式部と、ひとつ車にて物へ行きけるに、道命うしろむきてゐたりけるを、和泉式部、「など、かくはゐたるぞ」といひければ、

 よしやよしむかじやむかじいが栗のゑみもあひなば落ちもこそすれ

 道命阿闍梨と和泉式部とが、ひとつの牛車に同乗してさるところへ出掛けた折、道命がずっと背を向けて座しているのを、和泉式部が、
「どうして、そんな風に座っているの」
 と尋ねると、
「よしやよしむかじやむかじいが栗のゑみもあひなば落ちもこそすれ」

 迷いはしましたが、貴女の方は振り向かずにおきましょう。だって貴女のこぼす笑みを目にして、いが栗がはぜて落ちるようにわたくしが恋に落ちてしまったら困るではありませんか。
 ね。
posted by 以津真出 at 02:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 古今著聞集 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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